混ぜるな商店

ブランディングの本質

表方 / But not for me
丹羽野 直樹

はじめに

混ぜるな危険 ブランディング担当 丹羽野です。「混ぜるな危険」とは様々な専門分野を持つ人たちが集まったプロジェクトチーム。香り×○○という形で、今まで香りと接続してこなかったものを掛け合わせ新しい世界観を提案します。
読香文庫とは混ぜるな危険の企画第一弾。香り×本をコンセプトに、香りで選ぶ新しい読書体験を構築する企画です。

ブランディングの本質とは

デザイナー、ブックディレクター、伝香師、大工、編集者など多様な専門家が集まって一つの企画を作り上げています。
香りと本というシンプルな要素で新しい世界観を作り上げていく中で、ブランディングの役割とはなんでしょう。
ブランディングの定義は調べると色々と出てきますが、私は「そのものが持つ本質的な価値を正しい形で届ける手段」と定義しています。
格好良いだけのパッケージを作る、ただ時流に乗る、物は良いが、伝える努力をしていない。
それらはブランディングとは呼べません。

ファーストリテーリングのステートメントは「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」。
スターバックスのミッションは「人々の心を豊かで活力あるものにするためにーひとりのお客様、一杯のコーヒー、そして一つのコミュニティから」。
ユニクロはLIFEWEARへ、スターバックスはサードプレイスを提供するようになりました。
まさに本質的な価値を正しい形で届けているのではないでしょうか。

読香文庫の価値

私が考える読香文庫の本質的な価値とは「イマジネーションの掛け合わせ」です。
人間は視覚に多くを頼っています。(約83%!)しかし小説や香りは目に見えるものではありません。
なので同じものでも人によって感じ方も違えば、答えも異なります。その人の経験や思想、タイミングに左右されるのです。
読香文庫はまず5つの香りを選んで頂き、その後香りに合わせた本を読みます。

直感的な好みによる香りの選定、香りを媒体にした小説の世界への没頭。
2つのイマジネーションを行き来することが読香文庫の価値です。

第一回目では実際の店舗で、真っ黒な表紙で中身がわからない本をパラパラとめくりながら、香りを選ぶという体験をしてもらいました。
第二回目ではオンラインで、香りのついた5枚の紙(ムエット)が家に届き、好みの香りを決めた後に本を購入します。
ご購入して下さった方には、香りの説明を添付したり、フレグランスショップ LE SILLAGEに行けばより詳しい香りの背景を知ることができます。

香りを媒介にした新しい文化を正しく届けるために、HPのデザイン、twitter、接客、オンラインとオフライン両方での開催から、ステートメントの言葉遣い、フォント、写真… とあらゆる側面において考え抜く。
それがブランディングであり、私の仕事です。


混ぜるな危険 表方 But not for me
丹羽野 直樹
1992年生まれ
Twitter / https://twitter.com/butnotforme2